剛柔流空手道は空手技術の習得、向上とともに心身の健全な育成を促すのに優れた内容を持っています。これは開祖宮城長順先生がいち早く近代体育として見直し、現在いわれている科学的トレーニングといったものを含む練習体系を昭和の初めに作り上げたことによります。技術に入る前にまずその特長を理解してください。
精神面 厳しい練習を通して得るものはたくさんあります。まず稽古に打ち込むことで精神の集中力が高まります。大きな気合をかけて飛び込んで行くことで勇気が湧きます。勝ったり負けたりしている間に‘なにくそ’という根性もできます。寸止めなどのルールを守ることで自制心や節度が養われ、勝つための工夫もするので研究、創造力も育ちます。
身体面 空手道は全身運動であり、調和のとれた成長が促されます。俊敏性や巧みさなどの運動能力も高められます。一部分だけを使いすぎると発育が片寄ったり、肘痛や腰痛などの障害にかかりやすくなります。この点剛柔では関節の動きを上手く活用し、円滑に全身を動かしますので均整のとれた体作りに役立ちます。
健康増進 剛柔流は腹式呼吸法を重視した練習を取り入れています。動作にあわせて腹式呼吸をすると神経や内臓諸器官が強化され、血行の流れも良くなります。近年、いろんなスポーツに呼吸法が取り入れられるようになったのもそのことに気づいたからです。剛柔流の呼吸法は禅や太極拳とも共通する東洋独特のものです。
護身に役立つ 「空手に先手なし」で、空手を知っている者が仕掛けることは固く戒められているが、いざという時には身を護ることができます。小・中学校で‘いじめ’が問題になっているが、練習を通じて養われた気骨が相手に付け入らせないし、万が一そういう事態になっても一蹴できるわけです。
老若男女がその体力に応じてできる 体は使わないと鈍ります。運動能力も減退していきます。抵抗力も低くなり病気にかかりやすくなります。空手はひとりで狭い場所ででも、いつでも体力に応じて強くも弱くもできます。